東京都生物教育研究会 総会及び講演会
日時:令和5年7月8日(土)
14:00~14:30 受付
14:30~15:30 総会
16:00~17:30 講 演 会
17:30~18:00 研究協議会
場所:都立新宿高等学校 6階 生物室(TEL 03-3354-7411)
JR中央線新宿駅から徒歩4分
総会
・会長挨拶
・指導主事挨拶
・令和4年度決算
・令和5年度予算案
・役員人事
・令和4年度事業報告
・令和5年度事業計画 (各部・各支部・各委員会)
・その他
講演会
演題「花粉管ガイダンスの仕組み(仮)」
講師 東山哲也先生(東京大学大学院理学系研究科 教授)
内容(予定)
雌しべは様々なしくみで花粉管をガイドします。花粉管ガイダンスは多段階の仕組みであり、花粉管の通り道にあるそれぞれ組織が連続して花粉管をガイドすることで、花粉管を最終地点まで導きます。私たちの研究室では、トレニアという卵装置が突出するユニークな植物を用いて体外受精系を開発しました。そして紫外線レーザーで細胞を1つずつ破壊することで、卵細胞の隣に2つある助細胞が、花粉管ガイダンスの最終段階で花粉管を正確に誘引する細胞であることを見出しました。そして、助細胞が分泌する花粉管誘引物質が、複数のペプチドであることを明らかにし、これらをLUREと名付けました。140年以上に渡って探し求められてきた物質を発見したことで、花粉管ガイダンスにかかわる様々な興味深い分子機構が、私たちの研究室で明らかにされつつあります。
※参加ご希望の際はフォームより7月7日(金)18時までに事前申し込みをお願いいたします。
※上記フォームへのアクセスができない場合には、下記【問い合わせ先】まで、事前にメールで①氏名②所属をご連絡ください。
※参加方法等に関してご質問等がありましたら、問い合わせ先までご連絡ください。
※教材プリントなどの配布資料がありましたら20部程お持ちください。
※東京都生物教育研究会は、研究推進団体として認定されております。服務の取り扱いは管理職とご相談ください。
【問い合わせ・連絡先】
三田国際学園中学校・高等学校 教諭 大野 智久
Tel:03-3707-5676
Mail: tomoohnoedu●gmail.com
(●を@に変換)
東京都生物教育研究会 総会及び講演会
日時:令和4年7月9日(土)
14:00~14:30 受付
14:30~15:30 総会
16:00~17:30 講 演 会
17:30~18:00 研究協議会
場所:都立新宿高等学校 3階 視聴覚室
(TEL 03-3354-7411)
JR中央線新宿駅から徒歩4分
総会
・会長挨拶
・指導主事挨拶
・令和3年度決算
・令和4年度予算案
・役員人事
・令和3年度事業報告
・令和4年度事業計画 (各部・各支部・各委員会)
・その他
講演会
演題「アミノ酸シグナルとインスリン様シグナル」
『学術』研究から『生術』研究へ、そして100年後の地球のことを考える教育・研究プログラムへ至った道筋
講師 高橋伸一郎先生
(東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)
要旨(詳細はこのページの最下段にあります)
タンパク質の構成要素である個々のアミノ酸やその組み合わせからなる情報が、①インスリン様成長因子やインスリンの産生・作用などを制御し、これを介して間接的に物質代謝を調節する、②インスリン様活性の制御を介さず、直接的に物質代謝を調節することがわかってきた。一連の情報をもとに実現しつつある『AI→DX Nutrition』という次世代栄養学の技術を一例に、One Earth Guardians(地球医)を育成するプログラムにも取り組んでいる。
※三密回避と事前の来校者把握のため、参加ご希望の際は必ず事前申込みをしてください。フォームより7月8日(金)18時までに事前申し込みをお願いいたします。
※上記フォームへのアクセスができない場合には、下記【問い合わせ先】まで、事前にメールで①氏名②所属をご連絡ください。
※事前申込みをされていない方の、当日参加はご遠慮ください。
※当日はマスクの着用をお願いします。
※必ず検温してからご来校ください。発熱が認められた場合、参加できませんのでご了承ください。
※教材プリントなどの配布資料がありましたら50部程お持ちください。
※東京都生物教育研究会は、研究推進団体として認定されております。服務の取り扱いは管理職とご相談ください。
【問い合わせ・連絡先】
三田国際学園中学校・高等学校 教諭 大野 智久
Tel:03-3707-5676
Mail: tomoohnoedu●gmail.com
(●を@に変換)
<以下 要旨の詳細>
タンパク質栄養状態の悪化が、成長遅滞や脂肪肝などを誘導する分子機構は最近まで明らかにされていませんでした。しかし近年、タンパク質の構成要素である個々のアミノ酸やその組み合わせからなる情報が、①成長ホルモンの成長促進作用の仲介分子として同定された「インスリン様成長因子(IGF)I」や血糖値の恒常性維持に重要な役割を果たしている「インスリン」の産生・作用などを制御し、これを介して間接的に物質代謝を調節する、②インスリン様活性の制御を介さず、直接的に物質代謝を調節するという二つの機構によって、こうした表現型を決定することが明らかとなりました。更に、個々のアミノ酸を起点とするシグナルは、各臓器で異なる意義を有することもわかりつつあります。
これらの成果をもとに、私達は、次世代の栄養学の方向として、アミノ酸などの栄養素/代謝産物をあらためてシグナルとして捉えて、物質代謝、ひいては健康状態などのアウトプットを機械学習やシミュレーションで解析していくアプローチ『AI→DX Nutrition』の推進を提唱しています。さらにこの技術を使って、未利用資源を用いてヒトの健康維持や資源動物の高品質化を可能とする未来型「食料・飼料」を開発するプロジェクトに取り組んでいます。人間活動が地球上で引き起こした問題として、人口増加に伴う環境破壊、異常気象・地球温暖化、資源枯渇、生物多様性の減少・モノカルチャー化(経済効率が理由で特定の作物・資源動物だけを作ったり飼育したりすること)、産業廃棄物の増加・食品ロス、その一方で、食料不足・水不足、そしてパンデミック、戦争や紛争などが挙げられます。地球上の問題の解決策の実施は「待ったなし」にかかわらず、人類は、「人類の中心の生活」を捨てることができません。このような背景のもと、2017年12月に、私達は、『One Earth Guardians育成プログラム』を立ち上げました。
このプログラムの目的は、ヒトを含めた地球上の生物の共存共生のため、人類の生活活動を続けながら、これまでヒトが地球上の資源を利用することで起こしてきた問題を俯瞰的に洗い出し、科学的な解決法を研究、解決法を実践していくような科学者の集団(ネットワーク)『One Earth Guardians』(集団なので、複数を強調するためにguardianの語尾に”s”をつけています)を育成することです。先に私達が取り組んでいるとご紹介した上記のプロジェクト「自然資本主義社会を基盤とする次世代型食料供給産業の創出」も、この教育・研究プログラムの実践例となっています。今後の生物教育の新しい切り口として、都生研の先生方にもぜひご参加いただきたいプログラムです。
参考情報
研究室HP: http://endo.ar.a.u-tokyo.ac.jp
高橋伸一郎 Brain こぼれ話15: 低リジン飼料で霜降り豚肉の誕生 https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/index.html
ムーンショット(目標5)HP: https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub5.html
One Earth Guardians育成プログラム HP: https://www.one-earth-g.a.u-tokyo.ac.jp
高橋伸一郎、竹中麻子、野口忠 1996 動物の成長をつかさどるホルモン、インスリン様成長因子-I.蛋白質核酸酵素 41: 267-280
高橋伸一郎、伯野史彦、亀井宏泰、Leonard Girnita、Ignacio Torres-Aleman、東祐輔、福嶋俊明、柴野卓志、尾添淳文、山中大介 2013 解説:インスリン様活性と高齢化社会で克服すべき疾病 化学と生物 51: 389-399
高橋伸一郎、竹中麻子 2017 第4章.生命科学への誘い 岩波ジュニア新書「農学が世界を救う!」(岩波書店)
高橋伸一郎、伯野史彦 2018 成長ホルモンは,実は「異化ホルモン」である. 成長代謝 9: 1-4.
高橋伸一郎、伯野史彦、山中大介、中林靖、豊島由香、竹中麻子 2019 インスリン様シグナルと代謝制御性アミノ酸シグナル:次世代栄養学『AI Nutrition』の提唱 実験医学 37 (4) 特集「食の機能実行分子のサイエンス」:514-520
高橋伸一郎 2017 栄養失調の研究から高品質食資源の開発法を見いだす 弥生 64: 2-3. https://www.a.u-tokyo.ac.jp/pr-yayoi/